<紅葉の仕組み> 小学校のころ、先生のピアノに合わせ、ただ口をパクパクさせていた唱歌「紅葉」の、秋の夕日に照る山紅葉……という歌詞は、いま改めて読んでみると山の紅葉の美しさが実によく表現されている。 ところで、紅葉というのは、落葉樹の葉が枯れて落ちる前の現象であることは周知だが、どうして赤や黄に色づくのか−これには説明が必要だろう。 植物の葉が元気に育っているときは、葉の中で根から吸収した水と、大気中から吸収したニ酸化炭素(炭酸ガス)とが、葉緑素の助けを借りて太陽のエネルギー(光)を利用して炭水化物を作る。いわゆる光合成という仕事をする。こうして作られた葉の中の炭水化物は、夜になると糖の形で葉柄を通って、植物中に蓄積される。ところが秋になり夜の気温が低下してくると、日中に葉で作られた炭水化物の移動がスムーズに行われず、葉の中に残ってしまう。 このようにバランスが崩れると、今度は葉緑素が分解されて緑の色がなくなってしまう。こうなると、それまで葉緑素が多くて見えなかった葉の中に含まれている他の色素が葉に現れてくる。赤の色素アントキアン、黄の色素カロチノイド、茶の色素タンニンなどだ。植物の種類や品種によってこれら色素が違うので、紅、黄、褐色になるわけである。 秋に紅葉する樹木(別項)にしてみるとやはりカエデ類が多い。この表に木を追加したリ、紅葉の順、年度による紅葉の時期、美しさの違いなどメモするのも楽しい。 <モミジとカエデ> 子持山若かへるでのもみつまで宿(ね)もと吾(あ)は思(も)ふ汝(な)は何(あ)どか思(も)ふ この万葉集のとおり、カエデの語源は蛙手(かえるで)、モミジは紅葉(もみじ)するという動詞。従って○×カエデという名前はよいが、。へ理屈をいえば○×モミジという植物名はおかしいことになる。しかし実際にはヤマモミジ、オオモミジなど、モミジとつく名前は多い。 カエデの中に葉の切り込みのない種類もある。メグスリノキも一枚葉だ。この種は昔、木の皮をせんじて洗眼に使ったという。サーモンピンクの紅葉が美しい木だ。 外国種ではカナダのサトウカエデが有名。国花であり、世界一紅葉が美しいとカナダ人は自負しているが、この樹液を濃縮したメープルシロップはホットケーキにかけて食べることで知られている。 園芸種にはたくさんの品種があるが、一般に紅葉を楽しむ庭木としては大盃(おおさかずき)、一行寺(いちぎょうじ)、野村などが使われている。植え込みの適期は落葉直後か三月上旬である。 紅(黄)葉樹一覧表 【山野】 (カエデ科)▽紅葉=イロハカエデ、ヤマモミジ、オオモミジ、カジカエデ、ミネカエデ、ミツデカエデ、ハウチワカエデデ、コウチワカエデ、ウリハダカエデ、メグスリノキ▽黄葉=イタヤカエデ、ヒトツパカエデ (その他の科)▽紅葉=ナナカマド、ツタ、ヤマブドウ、ヌルデ、ウルシ、ハゼ、ドウダンツツジ▽黄葉=シラカバ、カツラ、サルナシ、カシワ、ブナ 【平地】 ▽紅葉=トウカエデ、ハナミズキ、カキ、ヒイラギナンテン、ニシキギ、ドウダンツツジなど▽黄葉=イチョウ、ポプラ、ユリノキなど 東京新聞 わが家の庭仕事 平城好明(園芸研究家) より |